バリアフリー住宅と聞けば、高齢者向けの住宅を思い浮かべてしまう人も少なくありません。しかし、バリアフリー住宅は家庭内事故を未然に防いだり、生活動線が考慮されていたりと、高齢者 や障がい者だけでなく誰もが快適に暮らせる工夫が施された住宅です。

「バリア」とは、高齢者や障がい者、ケガをしている人たちなどが生活するうえで妨げとなる壁(障壁)を指す言葉です。「フリー」とは取り除くこと。要するに「バリアフリー」は、生活で不便だと感じる壁を取り除いて自由になるという意味です。単に段差をなくすだけの意味ではありません。
家庭内といえどもそこにはいろんなバリアが存在します。バリアフリーの住宅は、そういったバリアを取り除いて安心・安全に過ごせる住宅なのです。

これと似たものに「ユニバーサルデザイン」という言葉があります。バリアフリーはバリアを取り除くという考えですが、ユニバーサルデザインのほうは最初から誰もが生活しやすい住宅をデザインするという考えです。より対象範囲が広いと考えられます。
出発点こそ異なりますが、いずれも生活者にやさしい安全性の高い住宅の代名詞となっています。

一般的に考えられるバリアフリー化

  • 玄関の段差解消(スロープ、引き戸)
  • 玄関から道路までのアプローチ
  • 室内の動線計画及び動線確保
  • 手摺りの設置(階段、廊下、玄関、トイレ、浴室)
  • 上がり框の段差
  • 階段の勾配
  • 足元灯の設置
  • バリアフリー対応のユニットバス
  • 廊下幅の拡張
  • 浴室・トイレのドア変更
  • 滑り止め防止(浴室、階段、トイレなど)
  • キッチンや洗面台の高さ調整
  • 照明スイッチやコンセントの高さ調整
    ※バリアフリー住宅へリフォームする時の助成金や補助金などの有無については、事前に自治体に確認しておきしましょう。

★玄関・スロープ

玄関まわりのバリアフリーで多くの人が悩むポイントが、スロープの設置と、上がり框(かまち)の段差問題だと思います。
スロープ導入のお考えであれば、実際にスロープがある家をみせてもらい、その傾斜角度などを実体験してください。傾斜角度が少し違うだけでもかなり負担が違ってきます。なるべく緩やかな傾斜が理想ですが、スペースの問題もあり理想通りにはいかないこともあります。

また、スロープは玄関外回りだけでなく、玄関内に設置することも検討しましょう。
昔は、上がり框といえば20~25cmくらいの物が多かったのですが、最近は高低差5cm弱のバリアフリーに対応した上がり框を設置する家も多いようです。 高齢者や障がい者が自分で靴を履いたりできるように、腰掛用のベンチを設置することも大切なバリアフリーになります。

★玄関ドア

玄関のドアも今は扉タイプが主流ですが、バリアフリーのことを考えるなら引き戸タイプの方が何かと便利です。
上がり框は、半スロープタイプや高低差の低いものを検討してみてはどうでしょうか。

★お風呂

バリアフリー住宅を考えているとき、まず優先したい箇所はお風呂です。理由はお風呂の設備によって大きく金額が違ってくるので、家づくりにかける総費用にも大きな影響を与えるからです。
実はバリアフリーのお風呂といっても、色々なタイプがあります。
ただ単に浴槽付近に手摺をつけただけのタイプもあれば、寝たきり状態であればバスリフトの導入も検討しなければなりません。

出入り口は広さと段差に気をつけましょう。介護を考えたとき65cm以上の出入り口幅が理想で、なるべく浴室と洗面所の段差をなくすようにしましょう。
扉は折り戸よりもスライド式のほうが開口部が広くとれるので使いやすいですし安心です
手摺りは浴槽に出入りするためのものと、洗い場にも設置しておくのが理想です。出来ればどちらもI型ではなく、L型の手摺をおすすめします。
家の中で一番怪我をする率が高いのが浴室での転倒です。床材は転倒防止にすべりづらい材質の物を使用してください。

浴槽はまたぎやすい高さとして42cm以下が理想とされています。また浴槽の深さもなるべく浅いタイプの商品を選ぶようにしてください。緊急コールボタンの設置もあると安心です。

★トイレ

お風呂の次に介護する側とされる側にとって大変なのがトイレ問題です。
お風呂と違い一日に何度も利用することになる場所であり、介護をされる側も気をつかいがちです。なるべく介護者が自立して一人でトイレに行けるように、出来る限りの対策をしてあげましょう。
トイレの出入り口は扉タイプではなく引き戸タイプにしておくのが理想です。
手摺りは介護者と介助者用の2つ設置しておくのが良いでしょう。介護者用の手摺りはI型ではなくL型が理想です。

少し高額になりますが、便座の高さが昇降するトイレリフトなどを設置すると、介護者や介助者にとっても楽になりますし、一人でトイレに行ける率も上がると思います。
高齢になればトイレの頻度も増えます。なるべく負担にならないよう、居室の近くにトイレを設置するのが理想です。
一番大事なのがトイレの広さです。車椅子でも入れる、介護者と介助者が二人同時に入っても大丈夫な広さを確保が出来るかが問題です。
トイレの隣が洗面所という家は多いです。そんなときにおすすめなのが、洗面所側からでも入れる入り口を1つプラスすることも検討しましょう。入り口が2つあることで万が一のときに対応できますし、介助するときも便利です。

壁面に埋め込むタイプの暖房機があります。トイレは冬場冷んやりしていて家の中でも温度差が高い場所です。温度差があるとヒートシックの原因にもなるので、暖房機を設置し、温度差をなくすようにしましょう。
また、床暖房の設置も寒さ対策に効果的です。 万が一のときのために、緊急コールボタンがあると安心です。

★廊下や階段

手摺りはただ付ければ良いものではなく、使用する人の性別や身長によって、細さや高さを変えることが大事です。
女性は男性に比べて手も小さく握力も弱いので、なるべく握り幅が小さめの手摺りを設置しましょう。
廊下や階段部分には、足元を照らす補助灯の設置も検討しましょう。
廊下は車椅子でも傷がつきにくい素材で、階段は滑りにくい素材を使用するのが理想です。

★部屋の位置

バリアフリー住宅では、部屋を日ごろから見渡せるリビング近くなどに配置することを勧めています。
日ごろから家にいることが多い奥様が目が届きやすいのと、日頃から家族が集まるリビング近くに部屋を配置することで、家族とのコミュニケーションを図りやすくすることが目的だとされています。
寝たきりとなれば、愚痴も多くなるし、トイレで排泄できなくなることもあります。
他の家族が食事をしているとき、近くで愚痴を言われたり、排泄の臭いがする部屋で食事をして快適な生活と言えるでしょうか。

介護の程度やそれまでの生活環境にもよりますが、無理して家族みんなが集まるスペースに、介護者の部屋を作る必要はないと考えられるようになってきています。
その代わり、何かあったときすぐに知らせてもらえるよう、呼び出しブザーや室内フォンを設置するなどの配慮は必要です。
部屋の位置は大変難しい問題です。家族間でよく話し合って決めるようにしてください。高齢になれば頻繁にトイレに行くようになるので、部屋のすぐ近くにトイレを設置するのが理想です。
介護用のベッドを置くことになるのであれば、和室よりも洋室が良いと思いますが、和室でも介護用ベッドは置けるので、最後は介護者の希望に合わせるのが理想だと思います。

また、デイサービスなどをお願いしている家であれば、毎回家の中にヘルパーさんが上がることを嫌がるケースも多く、そういう場合は介護者の居室から直接車椅子で連れだせるよう、別の出入り口を設けておくのも1つの案だと思います。

★火の不始末

高齢者にとって一番心配なのが火の不始末です。コンロの火の消し忘れ、ストーブからの引火など、高齢者世帯の火災の多くが、このような火の不始末から起こっています。
バリアフリー住宅といえば、段差をなくしたり、手摺りなどの介助補助器具を設置したりすることばかりに目を向けがちですが、火災の不安を排除してあげることも、立派なバリアフリー住宅だと思います。

高齢者の多くが、これまで使い慣れていないオール電化製品に難色を示します。しかし、IHコンロにしても電気温水器にしても何も難しいことはありません。費用面でも昔にくらべ、ずいぶんと安価で設置できるようになっています。
また、電気ストーブや石油ストーブを使わないでいいように、高気密・高断熱の住宅にすることも大切です。

★なるべく段差をなくす

バリアフリー住宅の定義は「段差をなくすこと」です。家のあちこちに段差があっては、高齢者や障がい者にとって生活しやすい家とは言えません。 またバリアフリー住宅は、高齢者や障がい者に特化した家のように思われがちですが、妊婦さんや小さいお子さんにとっても、大きくプラスになる家づくりだと思います。

高齢者の家中での事故や怪我は想像してるよりも多く、その大半が転倒などによるものです。 高齢になると、転倒しただけで簡単に骨折することもあります。骨折して入院なんてことになれば、それがきっかけで認知症になったり、介護が必要なほど体力が衰える原因にもなります。
つまり、怪我や事故防止だけでなく、それが結果として認知症予防や、寝たきり予防にもなるのがバリアフリー住宅です。

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内装の張替や畳の表替えなど簡単な修繕工事は別として、解体工事を伴う木工事が多くなるリフォーム工事は、新築工事に比較すると難しいものです。

  • 作業手順が現場ごとに異なる
  • 解体してみないと分からない部分がある
  • 予定していたディティールでは納まらず変更することがある

リフォーム工事では、現場の進み具合によって予定が変更になることが多く、豊富な経験が無いとスムースに進められないものです。 新築なら任せられるけどリフォームならどうかなぁ~?と、若い大工さんが現場に来ると思ったりしたものです。
大工さん以外の職人さんでも、新築工事専門にやっている職人さんと、リフォーム経験の多い職人さんとでは、現場での応用力が違うことを感じることが多いものです。

住宅を造る業者に変わりはないと思われていますが、新築は出来るがリフォームはできないという職人さんは実際にいますし、リフォームは出来るけど新築は出来ないという職人さんは逆にいません。 安ければ安いほどよいという業者選びではなく、リフォーム工事の業者選びは新築よりも慎重に行う必要があります。

リフォーム会社の中には誰でも知っている全国規模の有名企業や、TVコマーシャルでよく見る企業などがありますが、リフォーム工事が満足できる状態で完成するかしないかは、担当者の能力が大きく左右します。

リフォームは新築よりも難しいものです。マニュアル通りに進めれば出来上がり・・・というものではありません。 壁を剥がしてみたら予想していなかった状態になっていた・・・ということもしょっちゅうあります。そのたびに納まりを変更したり、使用する部材を変更したりと、応用力と早い判断が求められる場面がよくあります。

想定外のことが起きた時に間違いのない判断を下せるには、豊富な経験と深い洞察力が必要です。

また、リフォーム工事はお客さんが生活している中で進むことも多いものです。 新築のように、誰も生活していない中での工事とはまったく違います。工事が長い期間になるとお客さんのストレスも大きくなります。現場を取り仕切る担当者には、施主への気配りなども必要です。その辺のことが出来ない担当者では、お客さんが後悔する結果に終わってしまうこともあります。

会社の信頼性も大切ですが、担当者が信頼できるかどうかがもっと大切なことです。

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