埼玉新聞 社会面 住宅ローン救済コロナSOS 記事掲載

コロナで収入激減…住宅ローン滞納の困窮者に相談窓口
蕨の不動産会社が開設 住宅を手放さず救済を

 

リアルティ・オカザキの岡崎清春専務=8月27日、蕨市南町2丁目

新型コロナウイルスの影響で収入が激減し、住宅ローンの支払いが滞っている困窮者たちを救おうと、蕨市の不動産会社リアルティ・オカザキは8月から、無料の特別相談窓口「住宅ローン救済コロナSOS」を開設している。考案したのは、言語障害を持ち車いす生活を送る同社の岡崎清春専務(56)。「困っている社会的弱者を助けたい」と、長年培った知識とネットワークを生かし、支援を続けている。

岡崎専務は生後8カ月の時に高熱を出し、脳性小児まひを患った。その後遺症で言語障害を抱え、両手足をうまく動かせない状態となり、車いす生活を続けている。

高校卒業後、父親が市内で営んでいた別の不動産会社に入社した。約3年勤め、「新たな可能性に挑戦したい」と独立を決意。1990年、7度目の挑戦で、宅地建物取引士の試験に合格し、生まれ育った蕨市で不動産事業を展開している。

現在、経営は妹に任せ、自身は主に接客を担当。障害のため口頭でのコミュニケーションには苦労するが、「根気よく諦めずに伝えれば、理解してもらえる」と話す。

相談窓口を開設するきっかけとなったのは、新型コロナの感染拡大に伴う外出自粛。3月に入り、「給料が減り、住宅ローンの支払いを滞納している。このままだと差し押さえられて競売になる」といった相談がたびたび寄せられるようになった。

同社によると、延滞を続けると、住居を差し押さえられて競売にかけられる。競売では市場価格の半分以下で落札されることが多く、ローンの補填(ほてん)ができず、多額の借金を抱えてしまうケースもあるという。

相談者の大半は母子家庭や生活保護世帯の人たちだった。岡崎専務は「自分自身が障害者で社会的弱者の気持ちは誰よりも分かる。今の自分にできることで、困っている人たちを助けたかった」と、相談窓口を開設した理由を説明する。

相談を受けた岡崎専務が仲介し、弁護士、司法書士、税理士、金融機関などの専門家と連携しながら、(1)競売阻止(2)任意売却(3)債務の分割払い│の手順で、生活負担の軽減を第一に考えた救済策を提案している。

岡崎専務は「一度延滞してしまうと、返済条件が厳しくなることがある。早めの対応により、住宅を手放さずに期間延長や返済額減額の救済が受けられる可能性もある。まずは気軽に相談してほしい」と呼び掛けている。

問い合わせは、リアルティ・オカザキ(電話048・441・0006)へ。

 

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